近所に渋田川という川がある。源流は大山で、伊勢原市内を流れ、鈴川と合流して花水川となって平塚市で相模湾に注ぐ。
その渋田川に沿って散歩をしているとき、岸に生えている木に実が鈴生(な)りに生っているのに妻が気が付いた。
何だろうということになり、Googleレンズで調べると「オニグルミ」が類似画像として多く出てくる。間違いなくこれである。
これまでクルミは種(?)の状態でしか意識したことがなく、それがどういう生り方をするのか考えたこともなかった。「へぇー、こういう生り方をするのか」と一つ実を取って夫婦で珍しそうに眺めていると、ちょうど通りかかった同年配の女性が、「クルミですか?」と声をかけてきた。「以前はもっと生えていて、実を取りに来る人もいましたよ。」とおっしゃる。
これまでこの遊歩道に沿って丘側に桜が植わっているのは知っていたが、川側にクルミの木が生えているなんて全く気付かずにいた。しかし、一度気が付くと、ものの見方が違ってくるのか、そのあと川に沿って歩くと、何本も生えているではないか。まったく今まで何を見ていたんだろう。「ボーっと生きてんじゃねえよ」とチコちゃんに叱られそうである。
家に帰って調べると、「オニグルミ」は本州北部の沢や川辺に分布する日本で自生する野生のクルミで、外来種のクルミと区別するために、「オニグルミ」と呼ばれているらしい。
種が大きいので、とても鳥が実を食べてその糞で運ばれることもありそうにない。それととても硬いので動物でもリスやネズミのようなげっ歯類が食べそうだが、彼らが埋めて拡散されるならそう遠くにも広がらなさそうである。そうなると、繁殖は主には種が川で流されることで行われたのだろうか。そういうわけで川沿いに何本も生えているのか、といろいろ想像が広がる。
クルミの種は下の図のような構造をしていて、正しくはこういう呼び方をするらしい。
家に持って帰った一個の実の仮果を取り除き、水で洗って乾かすと核果がもうこのくらい育っている。
この核果はすでにとても硬く、金床の上に置いてハンマーで叩いてやっと割ることができほどである。
仮果はまだ青いが、核果の中にはおなじみの形をした仁がもうこのくらいになっている。秋になって仮果がはじける頃には、もっと大きくなってくるのだろう。その頃また取ってきて調べてみることにしよう。