The Fool In The Valleyの雑記帳

-- 好奇心いっぱいのおじいちゃんが綴るよしなし事 --

自動ライン判定(Electronic Line Call)

今回のWimbledonでは、線審を無くして自動ライン判定を全面的に取り入れることになりましたが、昨日それに関しての物議を醸すようなことがありました。

女子シングルス4回戦のロシアのPavlyuchenkovaとイギリスのKartalの対戦をWOWOWで見ていたのですが、1セット目の4-4でPavlyuchenkovaがゲームポイントを迎えたところでそれは起こりました。Kartalのショットに対して自動ライン判定は反応しなかったのですが、アウトになったとして主審がゲームを止めました。直後に再生されたビデオを見ると、明かにバックアウトです。

審判はよく見ていたと思ったのですが、その主審は運営側と確認を取ったあと、なんとリプレイを宣言したのです。自動ライン判定が機能しないときは審判が判定を下すようになっていて、それが難しい場合はリプレイにするはずですが、審判は責任を回避するようにリプレイと宣言したのです。Kartalは主宰国のイギリスで唯一の勝ち残った選手で、会場はほぼ彼女の応援で埋めつくされていたので、それに気圧されたとみられても仕方のないような裁きです。ビデオでもはっきり分かるようなアウトをなかったことにされたのではたまりません。
これがアウトならPavlyuchenkovaがそのゲームを取ったのですが、リプレイになった後にPavlyuchenkovaは動転したか、ゲームを落してしまい4-5となります。それでもその後、ブレイクバックして、タイブレイクに持ち込み、最終的に7-6でPavlyuchenkovaがセットを取りました。そして、第2セットも取って勝利を納めました。四面楚歌状態で、審判にも不利な判定をされながらも、冷静に、粘り強く戦い抜いたPavlyuchenkovaに私は拍手を送りました。

さて、この事件で私が感じたことがいくつかあります。

第1に審判です。ビデオのリプレイでアウトが明確なのですから、そこで彼は判断をすべきです。リプレイと言ってチャラにするのはあまりにも無責任です。この審判に対してのペナルティーはないのでしょうか?

第2に原因です。このポイントのときだけ、自動ライン判定が働かなかったというのは変です。そのまま、何事もなかったように試合は継続しました。もしシステムに不具合があるのであれば、テストをしそうなものですが、何もせずに再開しましたから、自動ライン判定システム自体にはなんの瑕疵もなく、なにか人為的なミスだったのでしょう。それは明らかにされるべきです。

第3にこういうことが起こった場合のルールです。野球やサッカーなどの他の競技では、疑義が生じた際には、ビデオを複数人で見て最終的な判断が下されるような仕組みを持っています。テニスもそうすべきです。

第4に対戦相手のKartalです。ビデオは会場でも流されたはずですから、それを見て明らかにアウトなのがわかればそれを認めるのがスポーツマンシップだと思うのですが、どうだったのでしょう?

こういう事件を経て、皆が納得できるようなより良いシステム、ルールに改善されていくことを望みます。