SDR++はサーバー機能とクライアント機能があるので、下図のように、アンテナと受信機(RTL-SDRドングル)をつないだRaspberry Piを電波状態のいい場所に置いてSDR++サーバーとすると、任意の場所に置いた同一ネットワーク上のPC上で動くSDR++クライアントからネットワーク越しにそれを遠隔操作して受信することができます。

そのための手順は以下の通りです。
【Raspberry Pi側】
以前はsdrpp_serverという別のコマンドとしてインストールされたようですが、最近のバージョンの sdrpp ではサーバー機能がオプションとして内蔵されていて、次のように -s を付けて起動します。7342 はデフォルトのポート番号で指定しておいた方が確実です。
sdrpp -s -p 7342⏎
Raspberry Piをリモートのサーバーとして使うだけならディスプレイやキーボードは不要で下の写真のようにRTL-SDRをUSBに挿して電源を供給するだけです。

ローカルのPCからVNC Viewerを使ってVNC接続すると下図のようにRaspberry Piのデスクトップを表示できます。そこでBashを開き、上記のコマンドを入れるとサーバーを起動させることができます。VNCで接続するためには、IPアドレスとユーザ名、Passwordが必要ですから、Raspberry PiのIPは事前に固定しておく必要があります。この例では 192.168.1.20 に固定しています。

【PC側】
Windows用のSDR++は公式サイトからダウンロードできます。ダウンロードボタンを押すとSDR++ Nightly Build (currently 1.3.0) のGitHubが開くので、そこで
sdrpp_windows_x64.zip を見つけてPCにダウンロードして展開すると、sdrpp_windows_x64というフォルダができます。その中に実行に必要なファイルが入っているので、その中の sdrpp.exe をダブルクリックして起動します。
ウィンドウが開いたら、下図のようにSourceとして「SDR++ Server」を選び、IP アドレスにRaspberry Pi がつながっている 192.168.1.20、ポート番号に7342 をセットしてConnect ボタンを押します。

すると、サーバーのRaspberry Piにつながり、下図のようにリモートのソースがRTLSDR Blog V4であることが表示されます。そこで周波数をセットし、右向き三角のプレイボタンを押すとRTLSDR Blog V4が受信したWFMが再生されます。

「RTL-SDRが面白い」のこれまでの実験では、RTL-SDRドングルとアンテナをビルの南西側の窓際に置いていたので、東京方面から来る電波はビルの陰になってとらえにくく、大山から送られてくるFM横浜を受けるのが精いっぱいでした。しかし、アンテナとRTL-SDRドングルを接続したRaspberry Piをサーバーとして使うのであれば、それだけを電波状態のいい場所に置くことができます。そこでビルの北東側の東京方面に向いた窓際に置いて実験してみると、スカイツリーからの電波がしっかり入るようになりました。テレビのデジタル化によって空いた旧アナログテレビの周波数帯(90.0MHz〜94.9MHz)を利用して、AMラジオの番組が高音質なFM電波で放送されている(WFM)のを捉えることができます。
下に、スカイツリーから送られてきているWFMのラジオを切り替えて受けている様子を動画で紹介します。スペクトルのピークになっているところが放送されている電波なので、順にマウスでクリックして選局しています。90~93MHzに東京のラジオ局の電波が集中しているのを目で見ることができるのはなかなか面白いです。
RTL-SDRは小さなUSBドングルですが、それが捉えた微弱電波をソフトウェアで処理することによって、世界が広がります。次に挑戦したいのは、1090MHzというUHF帯を使用するADS-B(Automatic Dependent Surveillance–Broadcast, 放送型自動従属監視)です。その場合、波長が27.5㎝になり、λ/4が6.9 cm程度になるので、アンテナにもそれに合わせたものを用意する必要があります。それを準備して実験がうまくいったら、次の記事で紹介することにします。