The Fool In The Valleyの雑記帳

-- 好奇心いっぱいのおじいちゃんが綴るよしなし事 --

Kit-Cat Klock

これはKit-Cat Klockと呼ばれる時計で、アメリカでは88年もの歴史がある人気アイテムのようです。

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Kitty-Cat(二代目)とKit-Cat(初代)

Back to the futureの冒頭(このビデオの1:05辺り)にも出てくるので見たことがあるという方も多いと思います。


Back To The Future 1985 -- OPENING TITLE SEQUENCE


2001~2005年にアメリカで暮らしていた時、家庭用品店でこの時計を見つけて「あっ、あの時計だ」とすぐに買い求めました。
その初代が10年後に壊れてしまったので、その後アメリカに行った機会に、二代目をネットで購入してお土産で持って帰りました。二代目は初代と比べると一回り小さく、文字盤をみるとKit-CatではなくKitty-Catと書いてあります。ネットで買ったのでサイズに気が付かなかったのですが、どうも子猫のようです。

二代目を買ったときに、初代であるKit-Catを分解して調べたのがこの写真です。

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Kit-Catの内部

尻尾は時計を動かすための振り子ではなく、時計のユニットとは独立して動くようになっています。尻尾に永久磁石が付いていて、検出コイルでその尻尾の動きを捉え、励磁コイルに適切なタイミングで電流を流して尻尾を振り続けるようにしているのです。回路はR、C、トランジスタのシンプルなものです。トランジスタを使っているので88年前の回路ではなさそうですが、アナログの職人的な作りです。尻尾と目の永続的な動きは、励磁コイルに流す電流が作る微小磁界と、永久磁石、低摩擦で作られている目を動かす駆動系とのバランスの上で実現されていて、非常にデリケートです。とてもロバストとはいえない作りです。それで、時間とともにゴミや形状変化といった外乱で動かなくなることは避けられないようです。
そういうものなので、この商品のサイトでは動かなくなった時の対処の仕方がdoctor-kit-catとして丁寧に説明されています。最近の商品は、壊れたらハイそれまでだったり、修理するとしてもそっくり交換となることが多いのですが、この時計は、手入れして、調整して動かし続けるということが当然のようで、私も初代を何度かそうして復旧させました。

最近その二代目の子猫の調子が悪くなりました。
そこで、doctor-kit-catに書いてある方法を参考にして、目の回転軸や振り子の支点などの機構部分の分解掃除をして、摩擦をできるだけ減らしてみました。その結果、なんとか元のように尻尾を振り、目をキョロキョロさせてくれるようになりました。


Kitty Cat11

しかし、一晩経って今朝見ると止まっていました。それでも尻尾を横に振るとまた動き出し、もう数時間は問題なく動いていますから、これからはそんな感じで付き合っていくことになりそうです。


Kitty Cat2

そういう難しさのある時計ですが、機械は直して使うという古き良き時代のアメリカの精神を守り続けているように感じさせます。この時計が入っていた箱にも、ホームページにもMADE IN THE U.S.A.と誇らしげに書いてあるのはそういう伝統を守ろうという気概を示しているのかもしれません。この商品は将来的にもどんなことがあってもMade in Chinaにはならないだろうという気がします。