The Fool In The Valleyの雑記帳

-- 好奇心いっぱいのおじいちゃんが綴るよしなし事 --

持将棋か入玉宣言法か

昨日行われた王座戦の第二局は13時間を超え、214手で勝負がつく死闘とも言える名勝負でした。

終盤、後手の藤井竜王・名人の王将が敵陣に入り入玉を果たすと、先手の永瀬王座の王将も囲いがだんだん剥がされて孤立し、入玉を目指す展開になってきました。そして、194手を超えたところで、下の写真のようにABEMAの配信の画面上部に青で32(+8)点、赤で22(-2)点と表示が出ました。

194手後の盤面と持ち駒

将棋には持将棋というルールがあり、それについては下のリンクに詳しい解説があるのですが、ある条件を満たすと引き分けになる可能性があります。

194手を終えたところで、盤上の駒及び持ち駒の点数を数えると、後手は大駒3枚(飛、飛、角)と王将以外の駒が17枚で、5x3+1x17=32、先手は大駒1枚(角)と王将以外の駒17枚で、5x1+1x17=22となっています。持将棋両対局者の点数がそれぞれ24点以上が条件なので、表示された数字はその成立に近づいていることを意味しているわけです。
さらには後手の藤井竜王・名人は入玉宣言法によって勝ちを宣言できる状態にも近づいています。入玉宣言法はややこしいルールなのですが、それについては下のリンクに詳しく解説されています。

これまで、持将棋成立や入玉宣言法に基づいた勝ちの宣言なんてリアルタイムで見たことがないので、どうなることかと固唾をのんで観戦していました。

両者持ち時間を使い果たし、1分将棋のハラハラする攻防が続きましたが、形勢有利で持将棋は避けたい藤井竜王・名人が、自玉が安全とみるや相手玉を詰ませて勝ち切る作戦に転換しました。そして飛車2枚を使って攻め立て、214手で永瀬王座を投了に追い込みました。

124手後の盤面と持ち駒

八冠達成がかかる藤井竜王・名人と5連覇による名誉王座資格獲得がかかる永瀬王座ががっぷり四つに組んだ稀に見る熱戦でした。その中で持将棋入玉宣言法が起こるかというような珍しい展開まで見ることができて「見る将」にとっては非常に面白い対局でした。これで両者1勝1敗となり、残り3局での勝負です。

第三局は9/27に行われますが、これは目が離せません。

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