昨日の朝、たまたまNHKテレビで玉木宏 音楽サスペンス紀行「引き裂かれたベートーヴェン その真実」という番組を見たのだが、その中で第九に関して面白いことを言っていた。
第九の歌詞の中には
「Alle Menschen werden Brüder」(すべての人々は兄弟となる)
というような部分があり、冷戦時代に東ドイツが国家戦略として社会主義を賛美するものとして利用したこともあることから、それが何やら人類の崇高な理念を歌い上げたように思われているところがある。しかし、どうもそうではなさそうなのである。
もともとシラーの詩は人々が社交場で酒を酌み交わしながら詠まれた庶民的なものだったというし、ベートーヴェンのメモにもバッカスという言葉が書き込まれているという。ベートーヴェン自身、神格化されたところがあるが、むしろ大酒のみおじさんであったようでもある。そうしたことから、酒の神バッカスに捧げられた酒宴の歌とみるのが正しいのかもしれないというのである。
これは意外だったが支持したくなる説である。
これからは第九は、居住まいを正して聴くのではなく、酒を飲みながら聴くことにしよう。
上記の番組、NHKプラスで1/6まで見ることができる。