「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が2017年にユネスコの世界遺産に登録されています。
その対象は下図のように広く分布しています。
短時間で全体を見てまわることは困難ですし、特に沖ノ島に至っては九州本土から50km以上離れているうえに立ち入ることさえ厳しく制限されているので、今回はその構成要素のなかで九州本土内にある宗像大社(宗像大社辺津宮)を訪ねることにしました。
宗像大社は宮地嶽神社の北東10km程のところにあるので、タクシーで移動しました。途中、運転手さんが世界遺産の構成要素の一つである新原・奴山古墳群が道沿いにあるのを教えてくれました。更に、あるポイントで沖ノ島が見えるかもしれないと車を止めてくれたので、外に出て目を凝らして見てみました。湿度の高い夏場なので50km離れていると霞んで確認することはできませんでしたが、空気が澄んでいると見えるそうです。沖ノ島は地図でわかるように玄界灘にある孤島で、北九州から朝鮮半島に向けて海を渡るときには貴重な道しるべとなったようで、そうしたことから神が宿るという信仰が起こったらしいのです。
本殿にお参りしました。
境内には樹齢500年という御神木があります。
本殿の裏手には、大島と沖ノ島に鎮座する神の分霊を祀る第二宮と第三宮があります。ここを詣でれば宗像三宮を拝したと信仰されてきたということです。
宗像大社のすぐそばに世界遺産についての説明がある「海の道むなかた館」があり、そこを見学することをタクシーの運転手さんに勧められたので、入ってみました。
展示の説明を読んでいると、学芸員の方が声を掛けてこられました。少し会話をすると、館内が空いていたこともあり、それからずっと付いて案内してくださったのは有難かったです。ビデオの映写、年表や展示品を前にした説明で理解が深まりましたし、ヘッドマウント・ディスプレイを使ったVRによる沖ノ島訪問が体験できたのもなかなか面白いものでした。
この遺産群で特徴的なのは、神にお供えしたものが土の中ではなく祭祀が行われた場所にそのまま残っていたことです。そのなかには歴史の教科書で見た三角縁神獣鏡もあったようで、そのレプリカが置いてあって手に取れるようになっていました。ずっしりと重くピカピカに磨き上げられた青銅の鏡を手にすることができたのはなかなか興味深いものでした。
宗像大社に行かれることがあったら、このガイダンス施設を訪ねることをお勧めします。