20年程前、「ぼくは航空管制官2」という航空管制をテーマにしたシミュレーションゲームで遊んでいた時期がありました。当時は、WindowsはXPの時代で、PCの処理能力も今と比較すると劣っていたので、ゲームの画面は下のようなものでした。3D表示されてはいましたが、大幅に簡略化してデフォルメされたおもちゃのような世界でした。
今年、新年早々、羽田で航空管制がらみの事故が発生したのがきっかけになって、そのゲームのことを思い出し、その後進化しているんだろうか?とチェックすると、8年ほど前に「ぼくは航空管制官4」となったものがリリースされていたのを知りました。グラフィックスは実物に近い状態にまで改善され、時間経過も現実通りということです。それ以降のバージョンはないので、ほぼ完成されたレベルになっているのだろうと思うと興味が湧き、入手してちょっと触ってみました。
手に入れたのは羽田空港版です。羽田の滑走路や周辺の建物の様子は、第1、第2ターミナルの展望デッキから実際に見たり、Google Mapの航空写真の3D表示で馴染んでいますが、その様子が忠実に再現されています。
東京都心の遠景も実物に近く、アクアラインの「風の塔」も南南東の沖合に見えます。
航空無線を使った管制のやりとりも実際の無線通信に近い品質で流れてくるのでリアリティがあります。慣れないと聞き取れないのですが、その会話内容を画面で見ることもできます。(下のビデオクリップ、著作権の許可はもらっていないですが、むしろ宣伝になるので許してもらえるでしょう。)
チュートリアルを使って概要を把握した後、早速練習ステージに入ってみました。これは昼間のある時間帯をシミュレーションしたもので、出発機と到着機が設定されて次々に要求が来るので、それらに的確な指示を与えて安全に着陸、離陸させるのが目的です。安全が第一ですが、効率よくさばかないと、待たされた航空機のフラストレーションがたまり、ネガティブの評価がされるようです。ある水準以上でタスクを完了できると、レベルが上がり次のステージに移れるというわけです。
細かいことを書きだすときりがないので、実例のスクリーンキャプチャで雰囲気を伝えると以下のようなものです。
AIRDOの64便が接近していますが木更津より後方の上空にいるのを確認し、タキシングしてきたANA81に滑走路34Rへの進入を許可します。
続いてANA81に出発許可を与えると、滑走を開始します。
B737なので滑走路半ばで34Rから離陸しました。この後、ディパーチャー(出域)にコントロールを渡します。34Rが空いたことを確認し、AIRDO64に滑走路34Rへの着陸を許可します。
最初はこんなものですが、だんだん扱う機数が増えてきたり、夜になったり、天気が悪くなったりするのでしょう。実際の航空管制業務は、このゲームで体験できるよりも格段にむずかしく、緊張の連続であることは想像に難くありません。そうした業務に当たられている方々には敬意を表する次第です。
このゲームは想像したより完成度が高く、航空ファンのおじいさんにとっては、飽きのこない内容で、集中力、判断力のトレーニングにも丁度よさそうです。一生楽しめそうなものが手に入りました。