以下は2013/11/23にFacebookのノートに書いたものですが、Facebook上のその機能が停止されてしまったので、アクセス不能になる前に、ここに転記して保存することにします。
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"OUT THERE" と銘打ったPaul McCartney のコンサートに行った。
全部で37曲が演奏されたが、そのうちの23曲のBeatlesナンバーは自分自身の青春時代の記憶と重なり特に思い入れがある。セットリストとそのうちのBeatles ナンバーの演奏に対する所感を記憶が薄れないうちにこのノートに書き留めておく。
1. Eight Days a Week :開演予定の7時を過ぎること10数分、トレードマークのあのベースを引っ提げてPaulが登場すると会場のボルテージが一挙にあがる。”Ooo I need you love babe guess you know it's true." と始まるとこちらも一緒に歌い始めてしまった。 しかし、なんでこの曲が1曲目なのだろう? "Beatles for sale"でJohnが歌っている歌だという印象が強いのだが・・・ そんなことはどうでもいいか、とにかく始まった。
2. Save us
3. ll My Loving :前奏なしのPaulの"Close your eyes"の突然の歌いだしで始まる。リズムギターが軽快。うん、これだという感じ。息の合ったバックバンドもオリジナルの演奏の雰囲気をそのままに再現。ノッてきた。
4. Jet
5. Let Me Roll It
6. Paperback Writer :Paulのベースが冴えわたる。ベースという楽器の存在感をここまで高くしたのはこの人だ。バックバンドのコーラスもいい。
7. My Valentine
8. Nineteen Hundred and Eighty-Five 1985
9. Long and Winding Road :ピアノに向って歌う様子が両サイドに設置された巨大なディスプレイに映され、映画「Let it be」のシーンを思い出させる。映画の中でのPaulは、強烈な個性のぶつかり合いの中での孤立を感じさせたが、今、BeatlesやWingsよりも長い期間ともに活動してきたという気の合ったメンバーに支えられて安定し、真に演奏を楽しんでいるように見える。こちらも幸せな気持ちになれる。
10. Maybe I’m Amazed
11. Things We Said Today :大阪、福岡のセットリストを見ると、I've just seen a faceになっているのだが、アコースティック・ギターに持ち合えてジャカジャ~ンと始まったのはこの曲。Johnが大爆発した"A Hard Day's Night"のなかでは目立たない曲なのだが、メロディー・メーカーとしてのPaulがこのころから開花し始めていたなあと改めて思った。
12. We Can Work It Out :サビの部分のLife is very short, and there's no time for ~ という歌詞とともに、そのフレーズの途中からの3拍子への変化がアクセントになって印象的な曲だったが、今日聴いてもここが気になる。人生は短いか。そうだ、自分のやりたいことをやらずに後悔はしたくない。
13. Another Day
14. And I Love Her :"A Hard Day's Night"からのもう一曲。Paulのバラードをたっぷり聞かせてくれた。間奏の部分では映画のなかでGeorgeがそうしていたように、ガットギターで旋律を奏でてくれるのがとてもいい。こういう静かな曲になると、東京ドームのような広い場所ではエコーがはっきりわかってくるが、それほどの不自然さはなく、音響設定がうまくされていた。
15. Blackbird :60年代にアメリカの公民権運動が盛んだったときに、その人々のために作ったんだと前置きして歌い始めた。伴奏はPaulがツー・フィンガーで弾くアコースティック・ギター1本だけ。いいなあ、聴かせてくれるよホントに。真似してツー・フィンガー、スリー・フィンガーの練習していた高校時代を思い出し、久しぶりにギターを弾きたくなった。もうスチール弦は痛くて押さえられないだろうが・・・
16. Here Today
17. NEW
18. QUEENIE EYE
19. Lady Madonna :中央に置かれたケバケバしいデザインのエレクトリック・ピアノの前にどっかりと座るとピアノを叩きだした。アップテンポのリズムがベースラインにしっかり支えられた演奏はオリジナルのまま。歌われている歌詞には関係ないが、レディー、マドンナ、というわけでバックのスクリーンには我々が生きてきた時代の有名な女性の映像が次々に映し出される。最後はキャサリン妃。
20. All Together Now :"Yellow submarine"からの1曲。個人的にはわざわざ聴こうとは思わない曲だが、コンサートのなかでは楽しく聞かせたもらえた。
21. Lovely Rita :バックコーラスやソロを取る楽器の演奏などがオリジナルと比べても遜色のない演奏で聴いていてうれしくなる。Paulが長い間ともに活動してきた不動のメンバーのようで、プレーヤーのレベルの高さを感じた。
22. Everybody out there
23. Eleanor Rigby :オリジナルでは弦楽だけで行われている伴奏をコンサートでどうするんだろうと興味があったが、シンセサイザーで原曲の雰囲気がうまく残されていた。ただ、この曲を演奏するには東京ドームは広すぎる。
24. Being for the benefit of Mr. Kite :"Sgt. Pepper's"の中のこの曲はJohnの曲だと思っていたのでPaulが選んだのはこれも意外。それでも卓越したな歌唱力で自分のものにしているのはさすが。サーカスのようでもあり、幻覚の世界のようでもあるこの曲に合わせてレーザ光線が踊り廻る。わずか5人のバンドが作り出す魔法のような音楽に酔わされる。
25. Something :Paulにウクレレが渡されたので何を始めるのかと思うと、Georgeのためにと言って、ポロンポロン弾きながらSomethingを歌い出した。えっ、ウクレレだけのSomething?と思っていると途中からエリック・クラプトンばりの泣きのギターが入ってきて一気に全開。Georgeの名曲であるが、正直に言わせてもらうと、Paulに歌わせた方が迫力もあるしうまい。
26. Ob-La-Di, Ob-La-Da :コンサート中、Paulは時折カンペを見ながら日本語を交えて会場に呼びかけた。「アリガトウ」「サイコウ」はもちろんだが、この曲に対しては「イッショニウタオウヨ」と茶目っ気たっぷりに言ってベースを持って演奏した。Beatlesはなんと多彩な音楽を生み出したかことかと改めて思う。ロック、バラード、ハードロックがあり、そして童謡みたいなこの曲である。どんな曲を歌わせてもPaulは巧みである。
27. Band on the Run
28. Back in the U.S.S.R. :中学生のときにこの曲を聞いたころは東西冷戦の真っただ中。歌詞なんか分からず、ソ連がどうのこうのというより、ただジェット機の音が入っているのが新鮮でカッコよかった。このコンサートにおいても、ジェット機の音がずっと聞こえていたような気がしたのだが、空耳? それとも効果音?
29. Let It Be :今までに何度も聴いた曲を、あのPaulが生でピアノを弾いきながら歌っているのだ。そのことが信じられない。確かにPaulが目の前で歌っていることにただ感激。
30. Live and Let Die
31. Hey Jude :前曲が007の映画よろしくステージ上で火柱をぶち上げるわ、爆発音をだすわとすこし羽目を外し気味の大騒ぎだったので、ちょっと疲れた(?)ような素振りをおどけてして見せたが、最後はこの曲できっちりと締めた。繰り返しのコーラスに入ると観客に向かって一緒に歌うように促し、観客もそれに応える。途中で「ダンセイダケ」、「ジョセイダケ」と言って競わせたりして客席も一体になり盛り上がる。
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アンコール①
すでに今回の公演のセットリストがネットに出回っていたのでアンコールがあることは分かっていたが、日英両国の国旗を振りながら再登場すると場内は大喜び。
32. Day Tripper :アンコールの1曲目。今回の公演では、Rubber Soulからの選曲が1曲もないのだが、この曲やWe can work it outがその時期の曲として選ばれたとみることができよう。このギター・リフは一度聴いたら忘れられない。コンサートの大音響の中では細かいところが分からないが、これもオリジナルの雰囲気をよく出している
33. Hi, Hi, Hi
34. I Saw Her Standing There :最初のアルバム"Please please me"の第1曲目。コンサートの最初にでも歌って景気づけしたい感じの曲なので、なんでここに?という感じである。アンコールの最後にBeatlesとしての最初の曲を持ってきたのは何か意図があったのか? 原点はここだと言っていたのか、アンコールはまだ続くぞと宣言していたのか。
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アンコール②
35. Yesterday :「福島の人々に捧げる」と言って静かに歌った。この曲が、これまでどれだけの人に歌われたか知らないが、Paul McCartneyその人が歌うのを直接聞けたのは本当に幸せなことであった。
36. Helter Skelter :一転して、ハードな曲をシャウト。声の迫力に驚かされる。すでに30数曲歌っているのに、である。71歳の年齢を全く感じさせない。5,6曲カラオケで歌っただけで翌日は喉がかすれてしまう普通のおじさんには信じられない。この人はなんという人なんだろう。
37. Golden Slumbers/Carry That Weight / The End :すでに他の会場のセットリストを見ていたので、これが最後というのは分かっていたが、コンサートの最後に、Beatlesの事実上最後のアルバムの最後を飾ったメドレーを持ってきた。Abbey roadで慣れ親しんだ演奏がそのままが再現され、だんだんと盛り上がっていく。そして、あ~っ終わってしまうよ~と惜しむ観客全員に最高の満足感を与えて終了。
以上の演奏されたBeatlesナンバーと収録LPの関係をまとめると下表の●ようになる。(シングルで発表され後にPast mastersに収録されたものは△でシングルの発表時期を記している。)初期から後期までバランスよく選曲され、しかもすべての曲がオリジナルの雰囲気をそのまま維持した形で演奏された。私を含む多くのファンが求めていたのは、当時のままで何の変更もする必要がないBeatlesの音楽の再現だ。その期待に完璧に応えてくれた。もう今後二度とこういうコンサートを見ることもないだろう。一生の思い出に残る、素晴らしいコンサートだった。