G7から帰国した首相が、「東京大会につきましては、感染対策の徹底、そして安全・安心の大会について、私から説明させていただき、全首脳から大変力強い支持を頂きました」と胸を張っていた。
そう言ってはいるが、実際はどういうやり取りがあったのか確認したくて、最終日に発表されたコミュニケを見てみた。25頁にわたる文書の一番最後に、”(We) reiterate our support for the holding of the Olympic and Paralympic Games Tokyo 2020 in a safe and secure manner as a symbol of global unity in overcoming COVID-19.” という一文があるだけであるが、主要議題ではなかったとしても、何とかこの文言を押し込むだけの議論はされたようである。
ここで、日本語の「安全・安心」に対して、英語で「safe and secure」 という表現がされているのだが、この訳になんとなく違和感を感じる。言語の専門家ではないのだが、safe and secureで安全・安心という意味が言い尽くされているのか?という疑問がある。
「安全 安心 違い」で検索するといろいろと出てくるが、大体においては、
安全というのは、客観的に見て危険が少ない状態
安心というのは、主観的な話で、主体が危険が少ないと判断できる状態
と定義、説明されている。それは納得できる。日本語としては確かにそうだろう。
一方、「Safe Secure 違い」で検索すると、そういうことが気になる人は私だけではないらしく、いくつかの記事を見つけることができるが、納得感のあるものとして、下のような記事があった
私が感じているように、SafeもSecureも対象が異なるが安全な状態を指していて、英語ではわざわざ「安心」まで表現しないのが普通であるようだ。
というわけで、日本語で「安全・安心の大会」と言った時に日本人が受ける感覚は、英語の”in a safe and secure manner”には含まれていないようなのである。
最近の様子を見ていると、COVID-19の感染状況がどうであれオリンピックは開催するという流れが止められない様相だが、開催するのであれば、とにかく「安心」できるような「安全」な形にして欲しいものである。